接待事情

前回接待の話を書くと言ったらもう大変だった。年始で会う人会う人から
『先生、接待楽しみにしています』のオンパレード。
おいおい、そうじゃないだろ。資金調達だろ得意分野は。
まぁ中小企業の親父さん。やはり気になるところは、そこか。
ということで接待のお話。

今はわからないが、昔は支店毎に接待費というのがあり支店長が自由に使って良かった。
まぁお客さんを飲食等で接待するのだが、一回何人までとか、いくら迄とか、二次会はダメとか、意外とせこい。それと、バブルのころは大丈夫だったけどゴルフはダメだよ。
そもそも、ゴルフに行くとプレー代とか、食事代で結構つくじゃない。そうなると、超えちゃうんだよ1人あたりいくらの枠を。
『あら。それしかないの』と思った方、そんなもんなんですよ。
だいたい銀行員はせこい人が多いから、接待で自腹切らないよ。

そんな接待費、支店毎にいくらと決まっているのですが、その額は、支店の規模と、過去の利用状況と、業績できまる。まぁ業績の良い店の支店長は給料や、ボーナスが増えるだけでなく自分が勝手に使って良い飲み代の枠が増えるんだよ。頑張るわけだよ。
ところが今はほとんど接待費使えない。
面白いのは、接待するのには事前に許可を貰わないといけない。

だからたまたまお客さんと一緒になって
『払っときますよ』
なんてのはない。だって事前の許可がないから自腹になっちゃうから。
それと、接待を受けたら報告して記録として残しておかないといけない。
まぁ3000円以上の飲食代は間違いなく報告している。その報告資料は金融庁検査で提出する事になっている。頻繁にそこに名前が出てきたりすると、片岡愛之助みたいな検査官に
『なによ、これ』
と詰められる。

昔大蔵官僚の接待が問題になったから金融庁は公私に厳しい。
検査に来てお茶も飲まないし、銀行の備品は一切使わない。コピーだって機械は使うけど、紙は持込む。すごいでしょ。
良く銀行員を接待した方がいいの?と聞かれるけど、答えはNO。だってこんな金融庁に検査されてるんだよ。下手に接待なんてしたら、片岡愛之助にやられるだけ。
それに接待しても融資の結論は変わらないって
まぁそのあたりは次回だな

銀行の事情

正確無比って銀行の代名詞のように聞こえるけど、銀行も実は間違える事はあります。
でも間違えは絶対そのままに放置しないという文化が根づいている。よく1円でも違うと帰れないっていうけど、それは本当。ただ1円しか違わないって事はあまりない。10万円とか100万円とか違う。どんな金額でも違うと原因追究するから
『1円でも違うと帰れない』
という言葉が出てきたのだと思う。
まあお預かりしているのは大事なお金だから当然といえば当然だけどね。

でも人間だから間違える事もある。ただ銀行の凄いところはそれを自分たちの間違えとしないところだ。
例えば、借入の契約書や手形に印紙を貼るのだが、債権額によって印紙の額は違うし、契約書か手形かによっても違う。特に新人とかがやると意外と間違えたりする。
本来これは銀行が間違えたのだから、この費用は銀行が被るべきものなのだ。
しかし、お客さんの顔色をみて負担させたりする。まあ借入の印紙なんていうのは借入が起きるから発生するものであって、銀行が強く言えばお客も渋々納得するからね。
でそれをお客さんにお願いするのは、営業担当者なんだよ。自分も支店の副支店長あたりから
『頼む。』

と言われ仕方なく行った。もっと生産的な事に力を使うべきだけど、その時はそれがとても大事な事だった。
でも言われたお客さんはたまったものではないよね。思い切り銀行はミスを認めないという理屈だからね。
そういえば職業柄、会計事務所と話をする事が多いのだが、そこも担当者から上司まで、頑なに自分たちのミスを認めない。
ああでもないこうでもないと理由をつけて言い訳する。
一言すいませんと言えばいいのにね。おバカな銀行に似ているよ

でも最近銀行もだいぶ変わった。少なくともミスを認めるようになったし、金額が少なければ経費処理するようになった。
銀行を辞める直前にある部下がお客さんから頼まれていたことを放置してしまって、手数料を1年近く余分にとってしまった。金額にして5万円くらいだけどね。まぁ1年間気がつかないお客もお客だけど、このケースお客さんに手数料返したよ。まぁ金額が少なかった事と、金銭で解決できるなら、長引かせるなという事だよね。

銀行を良く言うのはサイトの趣旨に反するけど、銀行も変わったなと思った瞬間でした。
ところで、変わったと言えば接待ですね。次回は接待のお話をしましょう。

法人口座の開設その2

さて、受付の若いお姉さん。
『法人の新規の口座開設はすぐに出来ません。
今日はお話を伺って後日可否の連絡をしますがよろしいでしょうか?』
『はい』と言ったら、お姉さんは、謄本をチラリと見て、
『業種は○○ですね。具体的にはどのような事をなさっているのですか?』
『最近設立されたのですね』
『今までどちらの銀行でお取引されてたのですか?』
『なぜ手前どもの銀行とお取引を希望されているのですか?』
と矢継ぎ早に聞いてきた。しどろもどろしながら打ち返している社長だが、
言葉に詰まってしまったので、すかさず横から助け舟
『業種柄いちげんのお客様からの振込が多くなる事が予想されます。その際代金の受取口座が信用金庫さんですとどうも。それと事務所から一番近い都銀さんということでこちらに伺いました』
『あっそうですか』
そのあとも色々と聞かれたが、なんとか無事に終わった。最後にお姉さん
『後日こちらから連絡します』

帰路、社長から
『良かったよ、先生が来てくれて。しかし、たかだか口座作るのにえらいうるせーな』
普通の感覚だと口座なんて簡単にできると思う。しかし今はそんなに簡単に出来ません。
何をやっている会社か、なぜ取引銀行が別にあるのに口座を開設したいのか
などなど、根堀葉堀聞かれる。場合によっては営業マンが事務所に来る。

だから口座開設に行く時は、開設理由などある程度は答えられるようにしておいた方がよい。
『社長ポイントはどうしてその銀行と取引したいかですよ。そこが上手く答えられないと怪しいってことになりますよ』
『都銀、カコイイじゃだめか』
『ダメですよ、今まで何故取引しに来なかったんですかって考えるですよ銀行って』
『まいったね』

後日某銀行から連絡があり、晴れて取引開始できることになった。
でも、今回かなりしつこく聞かれたのは
この銀行が反社会的勢力で業務改善命令を受けたからか。
またはうちの社長がぱっと見あっち系の人だからか。
怪しげなコンサルタントが同席していたからか。

よくわからない。
でも口座が開設できてメデタシメデタシ。