新規銀行取引について その3

前回は地方銀行についての話をした。
今回は信用金庫についてのお話。
信用金庫は、中小企業と個人専門の金融機関である。基本的に、地元で集めた資金を地元の法個人に貸し付けるというスタンス。従って超地元密着の経営をする。

中小企業が銀行に求めるのは、オーダーメイド。割引もそうだし、短期融資もそう、それと必要な時に必要な金額を借り入れる事ができる当座貸越等だ。
預金でも集金や日々の売上金の入金など、その企業の入金状況に応じたオーダーメイドの対応があっても良い。しかしオーダーメイドに応えるという事は、銀行からすれば、手間がかかり、面倒という事だ。銀行はコストがかかるから面倒な事はあまりしたくない。融資だって、長期の3年から5年、しかも保証協会付。集金はしない、持ってきて下さい。夜間の入金は手数料を払ってもらって夜間金庫。と自分たちの都合にお客さんを合わせていこうとする。

そもそも、銀行の営業は、融資をしながら企業から情報をとり手数料収入に結びつけるというもの。大きな銀行は融資を情報入手の手段程度にしか考えていない。
だから、企業が本当に望んでいる割引や、短期融資など敬遠する。
信用金庫は土俵が違うので小回りの利くことをしてくる。自分たちの都合にお客さんを合わせようなんてあまり考えていない。最後に助けてけれるのは、信用金庫である。是非仲良くして欲しい。

私の知り合いの社長が取引している信用金庫のお兄さん、若いし、とてもフットワークが良い。朝電話すると夕方必ず来る。そもそも地方銀行とくらべ担当者一人あたりの営業テリトリーが狭いから当然なのかもしれないが、でも気持ちが良い。
積立預金はあまりお勧めしないが、負担にならない金額で目的を明確にするのであるならば、信用金庫でやっても良い。
その時のポイントは自動引き落としにするのでなく、集金に来てもらう事だ。担当者に来てもらって経営者が会って話をするのだ。様々な情報を聞いて、あるいはこちらの商売の中身なりを教えてあげるのだ。月に1回10分か15分で良いのでそういう銀行の担当と話す時間を絶対作る、積立預金はその絶好の機会である。それが後々ボディーブローのように効いてくるのだ。

まぁ話がそれたけど、地元密着の信用金庫は付き合っておいて損はしない。
次回は政府系金融機関の話だな。

新規銀行取引について その2

前回は、リスク分散から複数の銀行と取引した方が良い。という事を話した。
今回は、どんな銀行と取引をしたら良いのかという話。
これはざっくりといった感覚だが、年商2億円くらいまでの企業の場合は、最低3行は必要。結構この規模の会社で1行としか取引がない企業があるから驚きだ。
では、どんな銀行かというと
ひとつは地方銀行(含む第二地銀)。
もう一つは信用金庫。
最後に政府系金融機関。

『先生、都銀かっこいいから、都銀と取引したいな』
と以前うちの社長が話していたが、私の経験上都銀は、預金口座をもつのは良いが、決算書を見せる相手ではない。商売が大きく、借入する金額が大きければ別だが、そうでなければ、文字通り「相手にしてくれない」
そもそも都銀は融資を情報入手の手段程度にしか考えていない。だから、企業が本当に望んでいる割引や、短期融資などは敬遠する。お金に色はないから、都銀と付き合うメリットはあまりない。
また都銀は中小企業に特化した専門部隊を作り、営業をしているが、サービスが画一的であり、自分たちの都合を押し付ける事が多いので、あまり取引はしない方が良い。

地方銀行、所謂「地銀」は地域経済を支えているプライドがあるから、付き合っておいて損はしない。むしろ付き合いたい
『いやあ、うちはアウェイですから、ガンガン行きますよ』
これは私の知人の会社に来ている地方銀行の担当者の言葉。
地銀と付き合う時は県外にある地銀の店舗が良いと言われている。例えば千葉銀行だったら千葉県外にある千葉銀行の支店という事。

地銀は母体の県で資金を集めて、運用を県外でするパターンが多いので県外地銀はかなり無理をする。先ほど地銀の担当者の発言はこのあたりから来ているのだと思う。
もちろん無理というのは貸出の事、是非付き合いたいですね。
まあ県外の地銀でなくとも、付き合って損はしないですね。
これはある県の地銀ですが、最近流行りのリバース型ローンに取組むと以前新聞で読みました。仲々のチャレンジ感がある、取引できるならしたいって感じだね。

『じゃあ、先生うちも地銀と付き合おうよ』
『ちょっと待って下さい。まだ、信用金庫と政府系金融機関の説明をしていませんよ』
『あっ、そうか、教えてよ』
それは次回

新規銀行取引について

今回からしばらく銀行を増やすという話。
実は以前、私の顧問先の社長に銀行を増やしましょうという話をしたら
『別に困ってないし、面倒だから一つでいいだろ』
と言われた。

しかし、面倒かもしれないが、銀行との取引で、複数行との取引は基本で、大前提なのである。この場合の取引とは、決算書を見てくれる銀行と言う意味であり、単に預金口座があるということではない。
複数取引だと銀行同士の競争が働くので銀行間のパワーバランスを考えるためにも必要。。
何より一方の銀行がだめになった時もう片方に、と言うリスク分散がはかれる。
銀行取引は思ったより属人的な部分があり、スキルの高くない担当者に当たってしまうと限りなく不幸。担当は選べないのだから、きちんとリスク分散させるためにも複数行と取引すべきなのだ。

一つの銀行としか取引していない会社の経営者には、銀行を増すとか、銀行と交渉をする事に罪悪感を感じる方がいる。でもそんな必要は全くない。
なぜなら、借入というのは企業にとって
「資金を仕入れる」
ということであり。銀行は企業にとって仕入れ先だからだ。

『社長、仕入れする時って相見積もりとるでしょ?』
という事です。
相見積もりをとれる関係の銀行が複数ないと、スキルの低い担当者になった時にとても不幸なことになる。
『いや、別にそんな事ないよ』
と思っている経営者の方、それは不幸に気が付いてないだけです。
担当者が変わって
『前の、担当者良かったな』
と思った経験ってあるでしょ。一行取引だと、そんな担当者とも当たり前のように付き合う事になってしまう。そうすると結局銀行と疎遠になってしまい、資金調達のタイミングを逸してしまうのである。

では、具体的にどんな銀行と取引をしたらいいの?
いくつの銀行と取引したらいいの?という話だけど
その辺は次回