『621番の番号カードをお持ちのお客様』
『あ、俺だ』と社長。
実は私のお客さんの社長、ちょっと道楽も兼ねて別の会社を作った。登記が終わったので銀行に口座を作りに来たのだ。
『先生、一緒に来て下さいよ』
『どうしてですか?』
『いやあ、銀行なんか行ったことないし、それに・・・』
『それにって?』
『いやあ』説明しだした社長ですが、それを聞いてちょっとびっくり。
本業で信用金庫と付き合ってる社長ですが、道楽の方は都市銀行と付き合いたいといって全く縁もない取引もない都市銀行へ飛び込みで口座を作りに行きたいと言うのだ。
しかもそれが、反社会的勢力への取引で最近業務改善命令を受けた某銀行。
新規の飛込みの法人口座開設、しかもうちの社長ちょっと見はあっち系の人、しかも怪しげなコンサルタントが同席。どう見てもまずいだろと思っていたら、順番が来てしまった。
取引のない法人の口座開設は普通その場で出来ない。
謄本や代表者の本人確認資料、来店者の本人確認資料をもらい、銀行のデータベースにアクセクスして、法人や、役員が反社会的勢力でないか、過去トラブルがないかなどを調べる。
それで該当ないと、晴れて取引開始となる。
で、普通は何をやっている会社か、何故口座を開設したいかを根掘り葉掘り聞く。
場合によっては営業マンに事務所の確認に来させるところもある。
まあ何れにせよ簡単に出来ない。社長もそれを知っていたから私に同席を頼んだのだと思う。
大丈夫かな?