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新規銀行取引について その6

前置きが長くなったけど、どうやって銀行と新規取引をするかというお話。
これには3つの方法がある。
1つは、飛込みで銀行に行く方法。
2つ目は飛込みで来た銀行員を押さえる方法。
3つ目はしかるべき人の紹介を受ける方法。

でまず、飛込みでいく方法。これはほぼ失敗する。
なぜってこちらから行くと引く習性のある人達だからだ。
近くの銀行に行って、口座を作って窓口でお姉さんに
『営業の人に一度来るように伝えて下さい』
というのもまぁありと言えばありだけど、あまり現実的でない。
だって営業の人って、今まで来なかったでしょ。
だから、来ないって。
まして窓口に行っていきなり
『貸して下さい』
なんて行ったら大変な事になる。間違えなく引かれちゃう。

2つ目は飛び込みできた銀行員を押える方法。
飛び込み営業はきつい。経営者はあまり銀行取引を増やそうとしていない。だから10件飛び込んで、1件話を聞いてもらえれば良いほう。話を聞いてもらったうちの10件のうち取引につながるのは1件だよ。だから飛び込みで来た営業マンは話を聞いてもらうだけで、とても嬉しい。

社長が戻って来て、知らない銀行の名刺が置いてあったら必ず電話しましょう。
私もそうだったけど名刺だけ置いていった先の社長から電話をもらったりしたら、それだけでもう大変、嬉しくて。個人的にはそれだけでその会社に融資したくなっちゃう。
で、電話していきなり
『お金借りたいので』
ではダメですよ。最初は冷静に
『何の用ですか?』
そうすれば相手は必ず、会いたいと言ってくる。
その時喜んだ素振りを少しでも見せてはいけない。

あくまでも、面倒くさそうにする。なぜって相手は借りたいというと逃げる種族だから。
とりあえず面倒くさいふりをして、会いましょう。
で会ってどうするかって?
それは次回だな

新規銀行取引について その5

今回からしばらく。どうやって新規での取引を開始するかという話。
ここでいう新規取引というのは借入取引の事。銀行は普通預金口座だけを持っていてもお客様と思っていない。よく
『あっ ○○銀行ですか。個人で口座持っていますよ』という人がいる。
『えっ そうなんですか。ありがとうございます』と答えるが、本当にありがたいと思っているかは微妙である。
銀行は個人で口座を持っていてもなんとも思っていない。銀行からみて借入をして初めてお客様なのだ。だからまず借入をしてお客様になる必要がある。

最も難しいのは、初回の借入。
どんな会社?から入るから当然審査に時間がかかるし、審査も厳しい。簡単にいったら
『知らない人に金を貸すんですよ』って事です。
でも二回目以降は知っている人だからとても楽。だから、今後の事を考えるとたとえ今必要なくとも少額の借入をして銀行とのパイプを作っておいた方が絶対に良い。一回融資の実績をつければ銀行はお客様なので、必要な時対応してくれる。

しかし、銀行員というのは、
『借りたい』というと
『えっ』と疑う。
『もう要りません』と言うと
『借りて下さい』と貸したがる不思議な集団。

初めてのアプローチでも、こちらから
『貸して下さい』
とお願いすると、
『何故今の銀行から借入しないのですか』
とくる。
これは、その銀行とのトラブルや業績の悪化で既存の銀行が貸せないと疑っている。
一回疑うともうダメな集団。注意が必要。

とにかくファーストアクションでこちらからギラギラ感を出さないという事が大事。
まぁキャバクラとかで、口説く時もあまりギラギラいったら嫌われるでしょ。あの感じ。こっちが押せば引くし、引いたら押してくるし。そんなキャバ嬢と同じかもしれない。
勿論ギラギラ感で上手くいく娘もいるかもしれない。でもそれは銀行と業態の違うファイナンス会社。金利が高いので付き合うと苦労する。

新規銀行取引について その4

新規銀行取引についての4回目。今回は政府系金融機関のお話。
政府系金融機関には、日本政策公庫と商工組合中小公庫がある。政策公庫の方が、間口が広い。政府系金融機関というとお堅いイメージであったが、最近はそうでもない。外へ出て積極的にお客さん獲得をしている。私のお客さんでも政府系金融機関に助けられている企業は多い。

『先生、大変だよ』といつもの社長
『どうしました』
『昨日、政策公庫っていうのが来たよ』
『珍しいですね』
『そう。それで、さっき電話があって2,000万円借りてくれってさ。どうする?』
『えっ、だって社長のとこは』
『そう、債務なんとかだよ』
この会社、実は社長が言う通り債務超過。しかも過去リスケをしていた企業。業績が回復傾向であるが、債務超過解消にはしばらくかかりそう。
そんな先に今回いきなり2,000万円の融資とは、いやぁまいったね。
まあゼロ回答はないと思っていたが、まさか2,000万円とは。

この企業に限らず、政府系金融機関のビックリする提案を受けている先は結構ある。
以前公庫の担当者が新規の取引先に対して
 『うちは、月商の2~3か月分を運転資金と考え、そこまで融資します』
というのを聞いて。
『いいのかよ、そんな事言って』と思った事があったが
そこの企業は公庫とは新規の取引だったが、しっかり月商の2か月分の融資を受けることができた。とても積極的。
また民間金融機関と違い、担当者は融資しかしていないので結論や対応がスピーディー。
民間金融機関は、担当者が雑務に追われ、スピード感に欠ける事が時々ある。

しかし、政府系金融機関の最大のメリットは実績をとても重視するところだ。
この場合の実績というのは返済の実績のこと。もちろん業績も重視するが、彼らは返済の実績をとても大事にする。

赤字になるとスーと逃げていく民間金融機関とは違い、きちんと返済の実績をみてその金額までなら多少赤字があろうが必ずやる。これが政府系金融機関だ。折り返し、折り返しと付き合っていく中で、赤字でもやるという彼らのスタンスは、中小企業にとっては心強い味方である。以前は積極性に欠けていたが、今ではかなり積極的。それと政策公庫は金利が若干高いという難はあるが、保証協会付の融資と違って保証料がかからない。従ってトータルコストで考えれば安かったりする。

更に政府系金融機関は条件があえば無保証で融資を受けられたりする。代表者の保証なしという事だ。これはなかなか民間金融機関ではできない。上場企業等は代表者の保証なしで融資する事はあるが、中小企業の場合はなかなか難しい。
やはり政府系金融機関はおすすめなのだ。

次回からは銀行にどうやってアプローチするかです。