新規銀行取引について その4

新規銀行取引についての4回目。今回は政府系金融機関のお話。
政府系金融機関には、日本政策公庫と商工組合中小公庫がある。政策公庫の方が、間口が広い。政府系金融機関というとお堅いイメージであったが、最近はそうでもない。外へ出て積極的にお客さん獲得をしている。私のお客さんでも政府系金融機関に助けられている企業は多い。

『先生、大変だよ』といつもの社長
『どうしました』
『昨日、政策公庫っていうのが来たよ』
『珍しいですね』
『そう。それで、さっき電話があって2,000万円借りてくれってさ。どうする?』
『えっ、だって社長のとこは』
『そう、債務なんとかだよ』
この会社、実は社長が言う通り債務超過。しかも過去リスケをしていた企業。業績が回復傾向であるが、債務超過解消にはしばらくかかりそう。
そんな先に今回いきなり2,000万円の融資とは、いやぁまいったね。
まあゼロ回答はないと思っていたが、まさか2,000万円とは。

この企業に限らず、政府系金融機関のビックリする提案を受けている先は結構ある。
以前公庫の担当者が新規の取引先に対して
 『うちは、月商の2~3か月分を運転資金と考え、そこまで融資します』
というのを聞いて。
『いいのかよ、そんな事言って』と思った事があったが
そこの企業は公庫とは新規の取引だったが、しっかり月商の2か月分の融資を受けることができた。とても積極的。
また民間金融機関と違い、担当者は融資しかしていないので結論や対応がスピーディー。
民間金融機関は、担当者が雑務に追われ、スピード感に欠ける事が時々ある。

しかし、政府系金融機関の最大のメリットは実績をとても重視するところだ。
この場合の実績というのは返済の実績のこと。もちろん業績も重視するが、彼らは返済の実績をとても大事にする。

赤字になるとスーと逃げていく民間金融機関とは違い、きちんと返済の実績をみてその金額までなら多少赤字があろうが必ずやる。これが政府系金融機関だ。折り返し、折り返しと付き合っていく中で、赤字でもやるという彼らのスタンスは、中小企業にとっては心強い味方である。以前は積極性に欠けていたが、今ではかなり積極的。それと政策公庫は金利が若干高いという難はあるが、保証協会付の融資と違って保証料がかからない。従ってトータルコストで考えれば安かったりする。

更に政府系金融機関は条件があえば無保証で融資を受けられたりする。代表者の保証なしという事だ。これはなかなか民間金融機関ではできない。上場企業等は代表者の保証なしで融資する事はあるが、中小企業の場合はなかなか難しい。
やはり政府系金融機関はおすすめなのだ。

次回からは銀行にどうやってアプローチするかです。