カードローン社長のその後3

『返済が随分多いですね』
ここは、カードローン社長の事務所。時間は朝7時半。
昨晩遅く電話をかけてきて500万円借りたいと言ってきた社長。
パニック状態だったので、直接会う事にして早朝のミーティングに切り替えた。
とりあえず今日どこにいくら払うのかを整理してみた。
人件費、外注費、買掛支払、経費等と比べて、銀行への返済資金が多かったので思わず出た一言であった。

『3ヶ月くらい前に700万円借りたんですが、その返済が今日なんです』
『返済って分割じゃないの』
『いやまとまったお金が入る予定で、それで返済するつもりだったのですが』
『入ったの』
『入ったんだけど』
『ひょとして』
『すいません使っちゃいました』
あちゃー、最悪
期日一括返済の借入をいきなり返済当日にジャンプ、しかも返済予定のお金を既に使ってしまったとは。

もともと工事の請負業者だったカードローン社長、たまたま大きな工事を受注した。しかし支払いの金額も当然多くて、そのために支払い分を銀行の借入で対応したみたい。当然返済は工事代金の入金。銀行もそれがわかっている。ところが入ったお金を返済に回さないで使ってしまったのだ。

中小企業ではありがちのパターン。これで払う予定だったのだが、入金された時に他にも支払があったのでそちらを払ってしまった。でも銀行はそれをとても嫌がる。銀行は借入の返済はこの工事の回収代金と思って融資をしている。それがまだ入っていませんと言うなら良いけど、入ったけど使ってしまいましたとなると『騙された』となる。別に騙したわけではないけど銀行ってそういう風に考えるんだよ。
そんな時本当は入ったお金できちんと返済して、また借りるというのが良い。

でもそれって企業にしてみると返したけど、本当に貸してくれるの?となる。まあそれも至極当然。だから返す前にまた借りる。とか借りたお金で返す。という方法になる。
『えっ?そんな事やってくれるの?』
『やってくれます。やり方次第ですが』
でも今回は当日なんで時間がない、さてどうしましょうか